刑事と特別捜査官とは




警察の装備 航空機編































































刑事と特別捜査官とは 




■ 公開日 2013/05/09 15:24:51  
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ワイ「変な話、刑事って警察官なの?」

刑事「ダンナさん、当たり前でしょや。なにはんかくさいこと言ってんのさ」

ワイ「ンゴ…」

刑事「ダンナさん、とりあえず、本署で事情聴くわ。おう、乗って」

ワイ「たまげたなぁ・・・ワイ、今キザシ乗ってるんやでえ・・・」


大型家電量販店の駐車場で社会の暗部をねめつけるような眼差しの男が、いまどき珍しいセダン型の車の運転席でタバコをふかしている。良いスーツを着ているが、中堅・一部上場会社の営業マンにしては世を拗ね過ぎた目をしている。髪のスソを刈り上げ、均整の取れた体躯、色白で目が細く、吊り上がっている。おまけにセダンのリアには変なアンテナが。こんなのがいれば、刑事(デカ)。各都道府県警察本部には刑事部と呼ばれるセクションがあり、殺人事件や窃盗など各事件に対応した部門があり、ここに所属し私服で事件の捜査を担当する警察官を一般に"刑事"あるいは"捜査員"と呼びます。これらの部門の刑事たちは地域部で扱えない、起訴を必要とする大きな事件を捌いていきます。刑事部のうち、捜査一課が最も、凶悪な事件を捌く花形部署で、殺人、強盗、誘拐、立てこもりなど、社会が最も憎む卑劣な犯罪者に追い込みをかけて引導を渡すエリート警察官たちです。ほかにも、詐欺など知能犯担当の捜査二課、スリや盗犯専門の捜査三課、マルボーと呼ばれ、どっちが組員かわからない捜査四課(警視庁は組織犯罪対策部として独立)まで部署があります。一方で、各警察署の中に置かれているのが、「刑事課」というセクション。刑事課の中には強行係りや盗犯係り、組織犯罪係りなど犯罪ごとに役割の違う班が置かれています。刑事ドラマで活躍する刑事と言ったら、警察本部の捜査一課、そして一般警察署の刑事課の刑事たち・・というようなものでしょうね。また、警察24時でお馴染みの「機動捜査隊」も警察本部刑事部に所属している初動捜査専門部隊です。一般に、これら刑事部と警備部の公安課(警視庁では公安部)とは仲が悪く、対立することも多いとされています。

刑事の所持品と服装って?


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制服警察官への拳銃貸与がそうであるように、刑事への拳銃貸与もまた厳格で、ドラマのように刑事が銃をいつでも持ち歩くことはなく、通常は署内の保管庫に厳重に納められています。銃を使った事件や暴力団本部への家宅捜索時などに上司の許可を経て、各刑事に貸し出されます。ですから、一般的に通常の刑事の所持品といったら、警察手帳、名刺、筆記用具、携帯電話、手錠や特殊警棒が主なものです。そして、凶悪事件発生時にはけん銃をホルスターに納めて、カールコードを装着し、ベルトに連結したうえで携行し、腕には腕章をつけキザシで出動です。ただし、機動捜査隊員は事件の初動捜査を担当し、犯人と遭遇する可能性が高いため、これらの所持品を常にフル装備して、覆面パトカーによるパトロール(密行と呼びます)を行っています。また、刑事は「人と会うことが多い仕事」であることから、スーツが仕事着であると定義されており、業者が生地を持って来てくれて、刑事が自分好みで選んだ生地でスーツを税金で発注できます。しかし、警察24時を見る限り「刑事=スーツ」は当てはまりません。実際、常にスーツ姿というわけでもなく、地域性を考慮してラフなホーマックやジーベックなどの作業服などを着て、その地域の労働者スタイルに合わせて溶け込む場合もあります。また必要に応じて、変装もします。実際に刑事の服装が見たいなら警察24時はもちろんのこと、全国の都道府県警察の刑事部の紹介ページをのぞいてみましょう。そこにはスーツから、使い捨ての日雇い人夫のような恰好をした刑事の写真まで、たくさん掲載されています。制服から私服に着替えると捜査のフットワークは上がるのかもしれません。
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刑事って普段何やってるの?


刑事の業務を一言で言うならば、捜査と防犯。つまり、「すでに起きた犯罪の調べ」と「犯罪を未然に防ぐ活動」です。また、刑事はデスクワークと外回りが半々くらいですが、署内の武道場や署の中庭で逮捕術の訓練を行ったり拳銃の操法訓練もします。また、大規模なイベントの警備事案では刑事も駆り出されて活動します。捜査帰りにたまたま遭遇した事故現場で救護活動や交通規制を行う心優しき刑事もいます。もちろん、刑事の移動にはキザシなどの「捜査車両」と呼ばれる、覆面パトカーを使います。この捜査車両で管内をパトロールしたり聞き込みなどを行うほか、緊急走行で裁判所まで逮捕令状や捜索令状(ガサ状)などを取りに行くこともあります。また、必要に応じて追跡や張り込みなどでは軽トラを使うなど手も込んでいます。また、書類仕事も刑事に課せられた日常業務です。被害届の作成から供述調書作成など、起訴まで持っていくために様々な書類仕事をこなさなくてはなりませんから、やはり文章構成力、それにペン字の美しさも必要になります。字が汚いと逮捕状を請求しに行った裁判所で、裁判官に嫌味を言われることもあります。もっとも、警察でも昨今はパソコンでの作成が主流ですが、高齢の刑事はやはりパソコンを使えず、若手の刑事からは嘲笑の対象になっているようです。


捜査報償費って何?


刑事には捜査上、必要な飲食や情報の購入に使用されるお金として捜査報償費という金員(きんいん)が支給されます。これは国と各都道府県費から出しているもので、通常は刑事が上司に「○○のために使用したい」と申請し、上司が認めれば、一回で数万円程度支給されます。刑事のほか、情報提供などをしてくれた捜査協力者たる民間人へ支払われることもあり、大阪府警の捜査協力者は実に120万円もの捜査報償費を稼いでいました。どんだけ情報もってんだこいつって話だろうね。一方、当の刑事たちは報償費だけでは足りず、自分のお金、つまりポケットマネーを使うことも少なからずあると、元警察官たちは著書で告白しています。中には捜査に使うお金が足りなくて「こち亀」という漫画の原作をして、お金を稼いでいた警視庁の現職警察官もいました。北芝さんの著書「警察裏物語」によれば、漫画の原作料として入ってきたお金は、北芝さんが私費で使う捜査費用に充てられたそうです。実は、警察の捜査の過程においては刑事が私費を使って情報を入手することが少なくないそうなのです。同様のことを北海道警察生活安全特捜隊の刑事であった、稲葉元警部も著書の中で述べられています。稲葉元警部はマンガの原作はしていないようですが・・・。とまあ、デキるオトコは情報を買う、そしてその情報に基づいてプランを練るというのは"刑事業者"でも普通のことなんですね。警察の世界も、「無料の情報をコピペするしか能がないまとめブログ」みたいな人は底辺に追いやられ、食っていけないということでしょうか。

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どうやったら刑事になれるのか?


まず、都道府県警察ごとに設けられている、警察官採用試験に合格することが第一関門ですが、刑事は「専務警察官」に該当しますから、警察学校を卒業後すぐにはなれません。ですから、まずは交番勤務でみっちりと地域警察官の基礎を習得し、上司や怖い先輩らから、それなりの勤務評価と信頼を得られるよう職務にまい進します。そうしながら、通常勤務の後や休日を使って刑事課に顔を出して挨拶をし、刑事たちに顔を覚えてもらい、時には頼んでもいないのに刑事課の覆面パトカーを洗車したり、弁当を差し入れするほか、様々な雑用を請け負ったりして自分を売り込みます。ここで初めて刑事課の方々から推薦をしてもらうチャンスが巡ってきます。もちろん、いい加減な刑事ドラマと違って、現実は、これだけで刑事になれるほど甘くありません。上司らから推薦を受けてようやく厳格な筆記試験と書類審査を受けることを許されるのです。そして、見事に考査に合格すると刑事任用課程という2か月間のスパルタ教育をうけて、晴れて刑事課に配属されます。ところが、配属されてもすぐに怖いパイセンは新人を仲間とは認めてくれません。これは警察に限らず、とくに民間の底辺企業でもそうですが、仕事ぶりを認めてもらえるまでは、ぞっとするようなイジメを受けて修行させられますよね。いじめ。茶坊主と言う言葉がありますが、新人刑事たちの最初の見習い期間はまさにデカ部屋でのお茶くみ坊主です。もちろんお茶だけくんでいればいいわけでなく、茶坊主をしながら怖い先輩の仕事を盗んでいきます。刑事が盗んでいいのはこれら先輩方のスキルだけであり、机の中の捜査費や懇親会費を盗むことは許されません。しかし、こんな厳しい刑事の世界ですが、やはり刑事を希望する若手警察官は多く、狭き門となっているのが実情です。前述したように各都道府県警察本部刑事部捜査課に所属する刑事と、ショカツで勤務する刑事課の刑事がいます。将来、本部の捜査一課に引き抜いてもらえば、刑事として大出世です。その捜査一課に詳しく迫ってみよう。

刑事たちの挽歌 警視庁捜査一課「ルーシー事件」

刑事たちの挽歌 警視庁捜査一課「ルーシー事件」
B00DNNK6BY | 高尾昌司 | 文藝春秋 | 2013-04-10


全国で一番優秀な警視庁捜査一課



刑事といっても、ショカツに勤務する刑事と警察本部に所属する刑事がいるって冒頭でも書きました。やはり、本部、それも捜査一課に所属する刑事は「刑事の中でも最高峰」で、殺人事件等、重大かつ凶悪な事件の現場へ臨場し、捜査を執行する一課員にいつかは自分も・・そう熱望しながら勤務するショカツ刑事が大半です。そして47都道府県警察本部のうち、警視庁の捜査一課がもっとも優秀な刑事の集まりと言われており、「刑事の中の刑事」といわれています。捜査一課長に就くのは現場を知り尽くした叩き上げというのが、警視庁の昔からの掟であり、事実これについて詳しく書かれているのが『君は一流の刑事になれ』です。表紙にもなっているこの特別な赤バッジをつける事を許されるのは、捜査一課の刑事だけです。それにしても刑事になるのは一苦労なんだね!
君は一流の刑事になれ

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刑事の中の刑事その2 警視庁特別捜査官


日本の警視庁でもFBIのように特別捜査官という職員がいます。東京都の警察行政を管轄する警視庁さんの警察官採用サイトを参照させていただいたところ、特別捜査官という専門の警察官は主に金融犯罪それに薬物や裁判犯罪といった、より巧妙化した現代の犯罪を取り締まったり、捜査活動を行う者たちのことであると説明されていました。また、特別捜査官採用には厳しい考査があり、いずれも採用されるのは若干名ですから優れた能力、経歴が必要となります。特別捜査官として採用された警察官は財務捜査官、科学捜査官、コンピューター犯罪捜査官、それぞれ警部補からのスタートとなります。募集対象となる資格は各部門で異なっており、財務捜査官は公認会計士や税理士の資格、科学捜査官は自然科学に関する博士号、コンピュータ犯罪捜査官はシステムアナリスト、テクニカルエンジニア、システム監査技術者、技術士(情報工学部門)又はこれに相当する資格などが必要です。もちろん、警察官として採用されますから、特別捜査官にも一般警察官採用試験同様に身長制限などがあり、男性の場合は身長がおおむね160センチ以上となっています。また警察官として職務を執行するにあたり、運動機能に障害のない者、また体に疾患がない者ということも明記されています。一方、ほとんど内部選抜になっているのが国際犯罪捜査官です。この国犯捜査官だけは警察部内からの語学堪能なエリート警察官を選抜しているようで一般募集は無いとみられています。このように特別捜査官には優秀な経歴や超難関資格が必須ですから、アスペか、中学時代から色恋遊びも許されぬママの英才教育で養われた色白の秀才でないと難しく、自分の将来の夢を漫画や刑事ドラマに感化されるような人などは門前払いのようですぞ。
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