覆面パトカー解説(アンテナ編)































































































警察の装備 航空機編































































覆面パトカー解説(アンテナ編) 




■ 公開日 2013/05/09 15:24:51  
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覆面のアンテナは多種類!これらの点を見分けよう


このページでは警察の覆面パトカーに装備される特別なアンテナを各種類ごとに解説してます。平成30年ごろから警察無線がIP化されれば、覆面の無線用車外アンテナなんて不要になると見られていますが、現状では覆面といえば、その特徴はアンテナですよね。交取やソーフク問わず、覆面パトカーのアンテナといえば、自動車電話型アンテナに偽装したTLアンテナ、テレビ受信用ダイバーシティアンテナに偽装したTAアンテナが長らく主流でしたが、昨今ではユーロアンテナタイプも登場するなど、各時代に合わせた涙ぐましい偽装が行われてきました。また、そのほかにも警護車両は警備イベント時にアンテナを増設する場合が多く、その場合はマグネットタイプのアンテナをルーフに装着したり、アマチュア無線擬装アンテナなどもありますが、主流はTAアンテナと呼ばれるダイバーシティ偽装型のアンテナ、それにユーロ偽装型アンテナです。しかし、"偽装"から"秘匿"へシフトする「外部アンテナレス」化する警察本部も増えており、交通、捜査に関わらず後部座席のヘッドレストの後ろのスペースに小型室内アンテナ、さらに地デジ用のフィルムアンテナ擬装タイプのアンテナに換装する覆面が増えているようです。また、さらに秘匿性を高めるため警察無線用アンテナを思い切ってミラーの中に仕込んで、完全に秘匿してしまった特許も。こうなるとちょっとやそっとでは見分けることができなくなってしまいますね。それでは各種アンテナに詳しく迫っていきましょう。


F1アンテナ(純正ラジオ用ロッドアンテナ偽装タイプ)

中古 旧覆面パトカー用 F1アンテナ&ケーブルセット

覆面パトカー(捜査車両)用のアンテナといえば、自動車電話型「TLアンテナ」が登場するおよそ30年以上前は、ラジオアンテナに模した非伸縮型のF1というロッドアンテナが主流でした。このF1タイプは純正のラジオアンテナを換装する形で取り付けられました。さすがにもうこれを装備する覆面パトカーはありませんが、視閲式でお馴染みの本部長が乗る、古~いオープンカーには未だにこのアンテナが装着されていることもあるようです。しかしながら、おそらく覆面パトカー用アンテナのなかで最も偽装に成功したタイプかもしれません。

TLアンテナ(自動車電話用アンテナ偽装タイプ)

中古 覆面パトカー用無線アンテナ


いわゆる自動車電話用アンテナタイプのトランクリッド設置型アンテナです。80年代に登場した、全長50センチ程度の比較的短いタイプで、2000年ごろまで猛威をふるいましたが、自動車電話の廃りと携帯電話の普及でこのアンテナをつけている車は激減。今でも実用アンテナとして、このタイプのアンテナをつけているのは警察かタクシー(日本アンテナ製品の450MHz用)かアマチュア無線家くらいですが。おっと。「マニア」を忘れていました。警察が採用している「TLアンテナ」は元々、NTTの自動車電話用アンテナに偽装させており、NTTのシールまでキチンと貼るという念の入れようでした。全長は結構長く、"アマチュア無線用のTLアンテナ"で代用すると、ホンモノに比べて短いので、これで偽覆面を作ると比較的みっともない車が出来上がります。このようなアンテナを装着する車は少ないため、覆面パトカーにこれが装備されていれば、すぐにばれてしまうので警察もそれを考慮して今度は、トランクリッドに台座だけ残し、アンテナはトランクの中に横向きにして隠してしまったりもしています。TLアンテナの装着位置は後ろから見て右側が多いようですが、左に装着する個体も存在するため、設置位置の明確な基準はないようです。一方で、当時流行したパーソナル無線用アンテナのような折衷型アンテナもありました。TLは第一線の覆面パトカーではすっかり廃れてしまいましたが、警備部が使用するいわゆる警護車は今でも現役で、TLアンテナを3本も4本もトランクリッドに装備しています。

TAアンテナ(アナログ波テレビ放送受信用アンテナ偽装タイプ)


普及率ナンバーワン?現在でもよく見かける覆面用アンテナですが、ワンセグ時代の昨今、こんなもの一般車はとうに装着しておらず、つまりこれもとっくに旧世代。今から20年以上前、自動車搭載型テレビ受信用のアンテナとしてSEIWAから発売されたテレビ受信用アンテナ、シティーロード・ダイバーシティ・アンテナに偽装させ、主に覆面パトカー用アンテナとして配備しています。現在は日本アンテナが製造しています。


セダン型覆面ではリアウインドウ上部のサイド、ミニバン覆面ではルーフ上に装着されるのが一般的です。 通常、セダン型覆面パトカーの場合は、リアガラスの両脇にひとつづつ装着しますが、片側しかつけていなかったり、ルーフ上に装着している極めて珍しい例もあります。さらに後部車内に置いて隠す秘匿型にされている場合も見かけます。なお、形の似たパナソニックタイプや、他にももっと小型のタイプも並行して配備されていますが、こちらの数はセイワタイプに比べると非常に少ないようです。このTAアンテナの欠点としてはエレメントを全開状態でついうっかりトランクドアをフル・オープンしてしまうと、エレメントとドアが接触してグニャリと曲がってしまうという点でしょうか。なぜかTAのエレメントが曲がってる覆面が多いのはこのためでしょう。とくに交機・高速隊の覆面は違反車両を停止させた後、カラーコーンや表示板などの停止機材をおろすため、トランクを必ず開けますから、この時がアブナイ。頻度は少ないとはいえ、無論、機捜やショカツの覆面も同様です。一方で、目立ちたくないのかエレメントをしまっている覆面も多いです。当然、エレメントが短くなれば、送受信性能は落ちます。なお、民生用との違いは同軸ケーブルの太さ、そしてアンテナ下段のエレメントの後端が膨れているため完全に収納できない点です。全国的には前述のシティーロードタイプが大多数ですが、一部の警察本部ではパナソニックタイプや、完全にオリジナルの意匠をしたTA(もはや"TA"なのか?)アンテナもありますから「どうせマニアのモドキだろう」なんて先入観は禁物です。


ユーロアンテナ(ラジオ用ユーロアンテナ偽装タイプ)



最近の国産車でも頻繁に装備されているユーロアンテナを模した警察無線用アンテナです。最近になって、ものすごい勢いで覆面パトカーに増殖しており、現在の警察無線用アンテナとしては最もスタンダードに思われます。マークXやレガシィ、そしてキザシ、果てはエルグランドなどミニバンにも装備されています。警察が採用するユーロタイプはエレメント固定タイプの電気興業製とエレメント・チルトタイプの日本アンテナ製MG‐UV‐TPの二種類が混在しています。デザイン的には日本アンテナ製のほうがマル。設置方法は、磁石とビスの二種類があります。しかし「後付けアンテナ」の宿命ともいえるのか、問題はやはり同軸処理。一般車両のユーロアンテナはリアウインドウから比較的、離して設置されますが、キザシなどのセダン型覆面パトカーでは同軸ケーブルの処理のため、リアウインドウの側ギリギリに設置され、同軸ケーブルはリアウインドウの隙間に這わせているのが特徴的です。同軸ケーブルの処理は都道府県警察によっては上手いところと雑なところがあるようで、後部ガラスのどちらかに沿って車内に引っこまれています。このように結構後付感があって、バレやすいのがタマにキズ。また、明らかに純正のユーロアンテナよりエレメントが長いので違和感もあるうえ、純正でユーロアンテナが設定されていない車種にユーロアンテナを設置するなど、必ずしも秘匿性を高めているとは言えないのが現状のようです。中にはユーロを2本も装着している覆面パトカーもおり、明らかに不自然な状態です。ある警察本部長公用車にはクラウンマジェスタが配備されていますが・・こちらもアンテナの秘匿には難ありのようで、標準のドルフィンアンテナを屋根に装備しているほか、トランクリッドにはユーロアンテナを装備するという不思議な偽装です。なぜかエレメントを普通とは逆に前側に倒している場合も多く見受けます。そのほうが電波の受信効率が上がるのかはわかりません。このユーロタイプアンテナについても、覆面パトカーが後部座席のヘッドレストの後ろのスペースに鉄板を敷いたうえでアースを取って車内設置するという荒業をしているのが、YOUTUBEの投稿動画にて確認されています。なかなか不思議な設置方法ですよね。でも一般人には標準か、偽装か見分けが難しいので、ある程度の秘匿に成功していると思われます。


アマチュア無線&業務無線風アンテナ


ダイヤモンド M150-GSA モービルアンテナ M150GSA

アマチュア無線と言えば、70年代から80年代にかけて大ブームになって、老いも若きも夢中になった趣味の王道ですが、現在、アマチュア無線もひところに比べればブームはとうに過ぎてます。それでも東日本大震災直後には、その有用性が見直されたのは事実で、第4級アマチュア無線技士の国家試験を受験者に関していえば、毎年約1万人づつ増加しているとのことです。
http://www.qcq.co.jp/amateur/
ブームに乗り遅れるのは警察も同じようで、これを警察無線用のアンテナに偽装したものを、通常はセダン型無線車、いわゆる覆面パトカーのトランクリッドにTLアンテナの要領で基台をかませて装備しています。一部の白黒パトカーでも装備されているのが確認されています。アンテナは全長30〜60センチ程度の針金状の細いエレメントが特徴でスプリングベースが多いようです。また、150Mhz台と300Mhz台の帯域を使用する警察のデジタル無線ではだいたい、144Mhz帯域を使用するアマチュアバンドや300Mz帯域を使用するデジタル無線アンテナと長さが一緒なので、警察にとっても都合がイイわけです。とくに千葉県警の交通覆面に装着例が多いと感じるのは気のせいでしょうか。しかし、やはり"セダン"でこんなアンテナをつけるのはアマチュア無線家くらいで、あとは一部の役所くらいなもの。おっと。マニアの皆さんを忘れては怒られますよね。しかし、偽装しているわけではなく、アンテナ本来の姿を堂々とさらけ出している点は男らしさを感じさせます。


車内アンテナ


捜査車両の外見的特徴といえば、上に挙げた各種外部アンテナの数々です。ところが最近、警察の交通用・捜査用車両ではアンテナの秘匿を目的として、アンテナを車内設置する例が比較的多く見られます。本来、外部装着用のTLアンテナをトランクルームの中に入れて隠したり、TAアンテナを車内側に置くなど・・・。大阪府警の交通取り締まり用覆面パトカーとして知られるステージアも、まったく外部にアンテナを露出させない完全な秘匿型に成功しており、極めて秘匿性が高くなっていますが、無線アンテナから5wで発射される高周波や反射波が、無線機や覆面パトカーの乗員に与える健康的、あるいは技術的な面についてのことはわかりません(笑)



























これは全長50センチ程度の黒いエレメントをウインドウ内側に張り付け、目立たなくさせるタイプの無線用アンテナです。エレメントが車外へ露出しないばかりか、エレメント自体が薄く黒色なので外部から見ても目立たず秘匿性が高いタイプで、一部の都道府県に配備されているのが確認されています。警察密着番組を見る限りでは、香川県や徳島県などの警察本部の捜査車両が同タイプのアンテナを好んでつけています。また小林よしのりに似た"リーゼント刑事"の乗っていたエアトレック覆面パトカーのリアガラスにも貼っていました。警察無線用のフィルムアンテナもあります。市販のワンセグ用フィルムアンテナに似たタイプで目立たず違和感もありませんから、こちらも秘匿性はかなり向上しています。さらに無線アンテナをドアミラーに仕込んでしまう運用方法も存在します。http://j.tokkyoj.com/data/H01Q/3095114.shtml 実はこの「ドアミラーアンテナ」の特許出願者はなんと警察庁長官。な、なんと警察庁長官が自ら、覆面パトカーのアンテナを隠す研究をしていた・・というわけではなく特許の請願者が長官というだけのはなしです。さて、【実用新案登録請求の範囲】に記載された文面には「見た目がスッキリする。」って(笑)そりゃアンテナが無いんだからすっきりしますけどね・・・。スッキリすることで見た者の記憶に残らないクルマにできる、ということなんでしょうか。一方、アメリカではメーカーも本腰を入れて車内秘匿用公共無線アンテナを警察向けに販売しており、一般の覆面パトカー用や、内偵用のバン用のものなどラインナップは幅広いです。あちらの場合は純正のラジオアンテナに偽装したものが多く、ラジオももちろん受信可能。


New!シャークフィンタイプ



一部の警察本部にて試験運用されている最新型の覆面パトカー用偽装アンテナです。最近のクラウンなど、国産車でも増えているスタイリッシュなシャークフィン・アンテナですが、すでにMCA無線やデジタル簡易無線、アマチュア無線(430MHz)、消防無線(260MHz)の世界ではフィンアンテナ型の無線用アンテナが登場しており警察無線用でも、とくに覆面パトカー用として次第に普及するものと見られています。形状としては、全体的にはオーソドックスなシャークフィン・アンテナを模していますが、頂上部から後ろへ水平に棒状のエレメントらしきものが6cmほど突出しており、いかにも無線通信を行うためのアンテナという風体になっています。筆者の憶測ですが、150MHz帯の警察無線の周波数でこのフィンタイプアンテナを運用するのは無理があるので、仕方なく棒状のエレメントをフィン本体から突き出る形で伸ばしたのかなと思います。またやはり、こちらも後付けアンテナの宿命として同軸ケーブルがわずかに本体下部から顔を出しています。現段階では試験運用にとどまっている様子で、プロトタイプ段階と言えますから、改善される余地はあるでしょう。まだまだ"覆面アンテナ"はTAと、ユーロアンテナ偽装が大多数を占めていますが、しばらくはこの「シャークフィン・アンテナ」タイプの新型覆面パトカー用アンテナ、マニアから注目の的になりそうです。しかし、警察無線に今、重大なコトが起きています。


総評・・・・警察無線(というかアンテナ)の未来は!

今、警察無線は重大な転換期を迎えています。警察では無線通信のインターネット・プロトコル化が課題となっており、警察庁はすでに大手業者と契約を行い、平成29年までに導入される事が決定しています。警察無線が民間の携帯電話網のスマートフォン等を活用したIP化に移行され、「IPR形警察移動通信システム」の配備が進めば、将来的にはパトカーから今までのような外部アンテナが消えるかもしれません。しかし、アンテナが消えたとしても、覆面パトカーとして配備される車種、異様なまでに無傷の車体、人員数、運転者の目つきや髪型、急に車線変更するなど危ない運転を見れば、捜査車両とばれてしまうのが大半のようです。筆者は、もっと乗員の見た目をスッキリさせたほうがいいと思います。

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