白黒パトカー解説(基本編)




警察の装備 航空機編

白黒パトカー解説(基本編) 




■ 公開日 2013/05/09 15:24:51  
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日本警察の配備する白黒警らパトカー解説



こちらのページでは、いわゆる白黒パトカーについて基本から装備に至るまで詳しく解説しています。テキスト量が多いため、読了に10分以上はかかると思います。さて、私たちが街で見かける白と黒のツートンカラーをしたパトカー。それらは一般に、警察署の地域課と呼ばれるセクションに所属するパトカーだったり、警察本部に所属する自動車警ら隊といったセクションのパトカーです。ほかにも交通機動隊に所属する交通取り締まり専門の白黒パトカーもありますが、厳密にはこちらは「警ら用パトカー」ではなく、交通取締り用です。このように白黒パトカーは所属によって運用方法や車種が違っています。このページでは、それら一般によく見られる「白黒警らパトカー」について解説をしています。なお、大都会世代の方の間では白黒パトカーの事を"白パト"、覆面パトカーを"黒パト"と呼ぶ向きがありますが、本サイトではそれぞれ"白黒パトカー"、"覆面パトカー"と呼称いたしております。ご了承ください。現在、比較的多く見かけるのはトヨタのクラウンの警らパトカーでしょう。警察庁が国費で全国の警察にバラまいたクラウンパトカーは長らく、地域の安全に貢献してきました。一方で「警察がクラウンに乗るのはおかしい。もっと燃費の良い小さい車で良いのでは」とネット上で一部の人が批判や提案をすることもあります。一般にクラウンといえば、高級車の代名詞。最近ではレクサスにお株を奪われた感もありますが、田舎の土建屋の社長などに愛用される車種でもあり、「警察のクラウンパトカーは中身が貧相なのに・・・」と、いくら警察マニアが上から目線で説き伏せても、警察の知識がない「善良な市民」が、このような批判をするのは至極当然かもしれません。警察は今までクラウンのモデル変更のたびに採用してきましたが、最新の210系クラウン白黒パトカーの採用は、未だ行われていません。210系といえばフロントマスクが特徴的な現行クラウンで、ピンク色の特別モデルまで登場する始末。この「210系採用の可能性」については多くの警察マニアが関心を寄せていますが、当の警察はどうやら200系を今後も継続して使うことになりそうでトヨタでは200系パトカーを今後も生産するそうです。覆面として多数配備実績のあるマークXを白黒にも大規模配備するのではという一部指摘もあったようですが、ひとまずは200系継続に落ち着いた昨今のクラウン・パトロール事情。一方、「警察がクラウンに乗るのはおかし(略)」という一部市民からの批判が原因ではありませんが、近年、クラウンに変わって、スバルのレガシィの警らパトカーが増殖しています。神奈川県警ではキザシも。実は、自動車メーカーで現在、パトカー専用グレードを設定しているのはトヨタの200系クラウンだけなのです。ところが、近年では警らパトカーの入札条件が緩和され、全国の警察本部の白黒パトカーでは警察庁が全国的にバラまいた「トヨタ・クラウン・パトロール」に変わって、スバルのBMレガシィが増殖しております。市販の200系クラウンはすでに製造が終わり、現在は210系になっていますが、パトカー専用グレードとしての200系クラウンは今後も継続して製造することが決まっており、すべてレガシィになったわけではなく、200系クラウンのパトカーも並行して配備がされるようです。それにしても、大口を開けてその中央に旭日章を付けたお下品な「210系クラウンパト」を見たかったのは筆者だけでしょうか。ただし、幹部用覆面パトカーとしての「210系」はすでに警視庁で配備され、公開行事でお披露目されてています。


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パトカーはなぜ白黒なのか?〜白黒つけるためではない


それについては群馬県警察が公式に回答しています。

www.police.pref.gunma.jp/keimubu/08kouhou/kid/situmon.htm

当時の日本では民間の一般車両のほとんどが白色だったそうです。その中で、警察のパトロールカーの見分けをつけるために車体の下半分を黒にしたそうです。その後、昭和30年になり全国でこのカラーリングが統一されたとのこと。なお、警察車両のカラーリングとしては白と黒のツートン以外にもあり、機動隊の車両は青と白のツートンや、グリーンだったりなど様々なカラーがあります。


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ミニパトおよび小型警ら車の解説







さて、パトカーと言えばミニパトや小型警ら車も外せません。ミニパトと言えば、地域課の交番の警察官や警視庁では交通課の警察官が主に運用する軽自動車タイプの警察車両です。また、小型警ら車は1000CC前後の普通乗用車仕様の警察車両です。これらミニパトや小型警ら車は、通常のクラウンやレガシイの警らパトカーよりも多く配備され、まさに警察官の足として使用されています。ミニパトではとくに警視庁管内の各警察署交通課では、ミニパトが交通違反取り締まりに活躍しており、主に女性警察官が乗車して駐禁取締を行っています。警視庁ではミラ(ジーノ、イース含む)、エッセ、ハイゼットカーゴ、ミニカ、アルトなどの車種が人気のようで多く見られます。そのほか、全国的にはダイハツのmoveやテリオスキッドなどが配備されています。小型警ら車のミニパトにはソリオ、パッソ、スイフトなどが全国的に配備されています。ミニパトにも警察庁が一括購入し、全国の警察本部へばらまいている国費購入車と、各警察本部が購入している県費車があります。ディーラーのモータープールで、出荷前のミニパトが警察表記を付けない状態で何百台も並んでいる姿は圧巻です。なお、警視庁には白黒の軽自動車のパトだけでなく、軽自動車の覆面パトカーもあります。そのほか、ミニパトも当然ながらサイレンアンプと赤色灯を搭載しており緊急走行が可能です。クラウン無線警ら車には自車の速度を利用して測定する「ストップメーター」と呼ばれる速度測定装置が装備されていますが、ミニパトには備わっていません。さらに車載型の警察無線機も搭載していない場合がほとんどですが、墨東署に限らず、"警視庁のミニパト"には無線用アンテナを搭載する車両が多いようです。このアンテナは乗車する警察官が持つ可搬型無線機と同軸ケーブルでつなぐことができます。


パトカーの装備品





赤色灯&昇降装置 現在主流のライトの名称はパトライト社の「エアロブーメラン」


現在多く配備されているクラウン、レガシィ、神奈川県警のキザシなど、白黒警らパトカーの多くは赤色警光灯および、警光灯の視認性を高めるための昇降装置が備わっているのが特徴。屋根が高くなり通常の状態でも警光灯の視認性が良いのですが、停車中にジャッキアップさせることで、さらに周囲の一般車両にパトカーの存在、事件事故現場で警察官が作業中であることを知らせやすくなっています。この装置、実は現場の本線上にパトカーを停めて作業中の警察官が、一般車両に轢かれ殉職した事故を受けての導入です。もちろん、走行中は使用しません。この昇降装置は電動とガス圧で作動し、サイドブレーキをかけた状態でトランクを開けると自動でせり上がるという優れもの。"パンタパンダ"はショカツの地域課、自ら隊に配備され交通機動隊や高速隊では配備されません。なお、この赤色警光灯のメーカーは複数あり、警察では主にパトライト社の赤色警光灯「エアロブーメラン」を採用していますが、少数では、小糸製作所の製品も採用しています。ちなみに過去、日本のパトカーで円柱形警光灯が主流であった当時、散光式警光灯(バーライト)を採用するよう提案したのは故・水野晴郎さんだそうです。最近ではなんと、この警光灯の真上に360度の周囲を記録撮影できるカメラを搭載しているパトカーも投入されています。ひええ〜。警察版Googleマップのストリートビューでもやろうっての?それとも、パトカーを無断撮影するフトドキモノをガッツリ逆撮影する防御装置なのか?(笑)また、車両の前面には前面赤色警光灯が装備されています。最近はLED式も増殖していますが、まだまだ昔ながらの集光式が多く配備されています。LEDタイプは一基の赤色灯に6個のバルブがついており、消費電力が少なく、明るさも優れています。なお小型のミニパトは装備していません。


サイレンアンプ&スピーカー



サイレンはセンターコンソールにあるスイッチのほか、助手席フロアに設けられた足踏み式のペダルでも作動するのが特徴です。現在のパトカーのサイレン音は電子サイレンです。このサイレン音を作り出すのが、サイレンアンプという電子装置。現在はパトライト社が優勢で、ほとんどのパトカーはパトライト社のアンプを搭載します。昔はパナソニックやクラリオンなども製造、納入しており、メーカーによって音色の違いがありました。それを聞きわけ、サイレン音でメーカーを当てるのが、まさにマニアの真骨頂で高貴な遊びでした。かつては、全国で警視庁のみがドラマでよく聞く独特の「ファンファン音」でしたが、現在は全国の警察本部でサイレン音は「ウ〜」に統一されています。サイレンの外部スピーカーは通常、パトライトの中央部分に併設されています。北海道警察などの場合、雪対策のためオプションのカバーをつけています。覆面パトカーではバンパーの内側に秘匿されて装備されます。もちろんサイレンのほかに拡声器の機能も備わっています。無線機のマイクと拡声器のマイクは別々で、細長いマイクのほうが拡声器用です。よく訓練されたPC勤務員は間違って無線用のハンドマイクに向かって「テメッ!テメッ!事故んぞ止まれ!そのまま止まれーッ!!ゴラーッ!オラーッ!」と怒鳴り、通信指令本部から「各PC勤務員にあっては、ハンドマイクを確認し正しく使用するよう願いたい、以上さっぽろんぶ(札幌本部)」と、ひんしゅくを買うことはありません。


カーナビ&カーロケーションシステム


通信指令本部から指令された110番の内容、住所などが表示される特別なカーナビです。カーロケはタクシーなどでも導入されているシステムで、自車の位置を指令センターにリアルタイムで無線で送る装置です。これを悪用しパトカーの接近を知らせる受信装置も販売されて実際に犯罪に使用されています。そのため、警察ではシステムの見直しを図り、パケット通信にするなどして対応し、新型カーロケーションシステムへ移行しました。このため、現在は新型カーロケを受信できる受信機は一般に販売されておらず、交通取り締まりの回避や犯罪に悪用される可能性が無くなりました。しかしながら、一部では旧型と併用しています。また、一部の警察本部では他の警察車両の位置をそれぞれの車両のナビで確認できる「チームナビ」を導入しています。自車の近くにいる他の警察車両を「けいし110」や「こうき434」や「きそう216」など画面に表示する便利機能。機種は警察やタクシーでも使用されているパナソニックの業務用カーナビ「CN-VX8200A」の警察仕様です。新品で32万円もするこの高機能カーナビ、警察でもカーロケ用として配備されたのですが、このカーナビ、仕様として起動させると「ハロー!パナソニック・ナビゲーション・システム」という若い女性の音声が流れ、画面にはアニメ調でスーツ姿のOLが出てきたりとパトカー勤務の警察官を楽しませる演出が心憎い。というより、一般業務用のシステム仕様をそのまま流用しているからそうなっているのでしょうが、パナソニック、サービスいいぞ!と思えてしまいます。さらに毎回の起動ごとに別の女性キャラが出てきて、中には・・・・ムフフ。

参考文献様各種
http://policecar.nomaki.jp/pcsoubint.html
http://minkara.carview.co.jp/userid/1685318/blog/35402884/
http://minkara.carview.co.jp/userid/1261000/car/939231/3569706/photo.aspx

ストップメーター


よく見るクラウン警らパトカーも、実は速度違反取締が可能。それを可能にしているのが、ストップメーターという速度測定装置です。矢崎総業とカンセイが納入しています。ストップメーターとレーダーによるスピード測定との違いはあくまで、測っているのが自車(パトカー)側の速度であることです。


警察無線&ホイップアンテナ

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パトカーの多くにはデジタル式警察無線が備わっています。白黒パトカーの場合、覆面パトカーと違って、警察無線用アンテナの秘匿や偽装の必要はありませんから、50センチ程度の業務用ホイップタイプ・アンテナをルーフ中央に配置しています。トヨタ・クラウンのポリス・パッケージの場合、はじめからエレメント設置用の基台が車内に設けられ、同軸も埋め込まれています。高速隊の場合は、トランクリッドにTLアンテナやアマチュア無線タイプのアンテナを設置する場合もあります。また警視庁の場合ですと、車内のダッシュボードにカーロケ用のFOMAアンテナも設置されています。ミニパトでは多くの警察本部で無線機やアンテナを装備していません。その場合は小型の可搬型無線機を警察官が携行したり、携帯電話で連絡をします。


パトカーのドアの秘密




パトカーのドアは内側から開かないとよく聞きますが、実はこれ本当。後部座席の片側は覆面、白黒に限らず被疑者の逃走防止のため内側から開かないようになっています。乗せられて降りるときは注意してください。また、クラウンやレガシィ警らパトカーの運転席側のドアが停車中、半ドアになっていることが多くあります。皆さんも街でよく観察してみてください。この半ドアにも秘密が隠されていますが・・・・・言えません。


パトカーは防弾なの?


街を走っている警ら用のクラウンパトカー、ミニパト、覆面パトカーなどなど。これらの車両は防弾化されているのでしょうか。いいえ、防弾化なんてされていません。日本は銃社会ではありませんのでパトカーが銃撃されるケースはほとんどありません。そのためパトカーを防弾化しても費用対効果がありませんし、無駄に重量が増してしまいます。25年ほど前、「警察の本」という警察マニア向けの本には「日本警察のパトカーのドアの内側には鉄板が挿入されておりイザという場合、お巡りさんはこのドアを盾にするのだ」なんて書かれていました。鉄板というのが時代を感じさせますね。現代ではもっとハイテク素材を使うと思います。でも実際は。ただし、警察に防弾車両が無いワケではなく要人警護を任務とするSPの使用するベンツやセルシオなどの黒塗りのいわゆる警護車は、ほぼ全て防弾化されています。また、機動隊が使用する警備車(装甲車)も、もちろん防弾です。防弾化の施工は日本特装という会社が行っています。一般車の窓ガラスなんて、厚さが数ミリしかありませんが、防弾ガラスにすると数センチになり重量も増します。警視総監の乗るレクサスもおそらくは防弾化されているでしょうね。

パトカーが銃撃された主な事件

◆旭川市でミニパトが銃撃される
http://ja.responsejp.com/article/2006/05/26/82350.html

◆北海道函館市で、やにわにガンファイヤ!警らPCに組員がトカレフを発砲。警察官重症、被疑者は返り討ち
http://hakodateshinbun.co.jp/topics/topic_2007_9_12.html
2007年のいわゆる函館市銃撃戦です。この事件では組員が追跡してきた道警の警らパトカーに向けてトカレフ短銃を発砲。乗っていた警部補に重傷を負わせました。組員は巡査部長から3発の威嚇射撃後、2発撃たれ、2発とも命中しています。


その他の搭載品


その他の搭載品として、タクシーが装備している防犯用のアクリル製仕切り、自動車学校の教習車両がつけているものと同じ助手席用のダブルミラーも特徴です。パトカーの助手席の足元には消火器や、車両のウインドウを破砕するためのレスキューハンマーも設置されています。市販のものと変わりません。また特殊警棒を固定するための「警棒格納装置」も車内に備わっています。トランクにはカギのついた車検証入れも搭載されています。高速隊ではパトサインという電光掲示板も搭載しています。近年では、神奈川県警察が配備するキザシの白黒パトカーなどにAEDも搭載されています。最近ではドライブレコーダーの搭載も目を引きます。パトカーのご当地装備としては北海道警察の一部のパトカーには鹿と衝突を回避するため、市販の高周波発生装置がナンバープレートの両脇に搭載されています。
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ショカツや自ら隊のPCに積まれる所持品検査箱(決済箱)もはずせません。職務質問時に、「したっけ、ダンナさん、持ってるもの全部これに入れてくれるかい?アンタ、これ何に使うのさ」と対象者の所持品を一時的に載せて確認するためのトレイで、機動捜査隊の覆面パトカーにも積まれています。

パトカー解説書籍各種



パトカーの「都道府県警察名」表記の書体やマークなどもイロイロ


白黒パトカー自体は全国で同じ仕様です(沖縄向けの特別防錆もあります)。トヨタのクラウンは国が購入して全国へバラまいてるのですから、当然と言えば当然です。しかし、表記やマークは全国で微妙に異なり都道府県警察ごとに個性を出しているのが実情です。最近流行のPOLICE表記や、昔からの青森県警察の白鳥マーク。かつての大阪府警の白ヌキ表記などなど。文字の表記自体も丸文字ゴシックから、角ゴシック、警視庁では独自のアノ字体。岡山県警察もナカナカ独特の味わいを持つ毛筆風でありました。「県警察」表記だったり「県警」表記だったりも面白い。なお、ドラマなどで使用される通称、劇用車のパトカーは様々な都道府県警察の名称に対応できるように。ステッカータイプになっています。三重県警なのに警視庁表記だったらドンビキですからね。でも、ナンバーが「横浜」だったりする場合もありますが・・・・。

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